健康は心身ともに問題の無い状態であったり、病気でない状態を表しています。
ただ、数字的な尺度は一般的にはないことから、考え方は人それぞれで、健康に対する評価そのものも一致することはほとんどありません。
今回はこの健康についての考え方にも色々あるという話を書いていきます。
健康とは
ここでも何回か書いてきましたが、健康とは
身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない、などのように言われています。
WHO(世界保健機関)が1999年に提案したものは下記のように何となくとっつきにくい文章になっていますが、その影響なのか審議にまで至っていません。
健康とは身体的・精神的・霊的・社会的に完全に良好な動的状態であり、たんに病気あるいは虚弱でないことではない。
とりあえず分かることから言えるのは、病気の有無だけではなく、心と体が健やかな状態を健康としよう、という具合だということです(大雑把)
人によって異なる健康
そんな具合に健康というものの定義は非常に曖昧です。
このため、人によって自分や他人に対して求める健康という評価は一定しないという事を念頭に置き、何を求めるのか、どういう状況を良しとするのかを決めておくと色々とスムーズですし、特に仕事で誰かの健康状態を改善しようなどと取り組む際には関係者の意識を共有しておかないと後々大変面倒なことになります。
では、ざっくりと健康についてどんな評価や考え方があるのか3つばかり書いていきます。
究極的な健康を求めるパターン
施設などで良く見かけるのが
BMIが標準範囲で血液検査はオールA評価を求めるというもの
確かにこれは健康的な体を具現化したような理想ですが、精神面などの話はどこかに行ってしまっています。
更に言うと、40代を過ぎてもこの基準を満たす人が一体人口の何%いるかというと、残念ながら極々少数になります。
では、その基準を満たさない人は不健康なのかと言うと、エネルギッシュな人もいれば、基準を満たしている人よりも充実した人生を送っている余殃に感じられる人も珍しくありません。
こういった面から、数値などによる評価は評価が付けやすいという面で判定基準の一端は担うものの、厳しい過ぎる条件から、究極系だけを求めるこの方法は対象となる人も生活に制限が多くなり、ストレスを抱えてしまい、精神面で健やかではなくという健康という定義を外れた状態にもなりかねないので、注意が必要です。
生活の充実度は高いパターン
数値が理想的でなくても病気のリスクは低く、本人や周りから見ても生活が充実しているという場合
理想を100点とすれば体重や血液検査は80点くらい
血液検査なら、Bとか要経過観察くらいがちらほら見られる。
僕は本人が満足していればこのくらいでも全く問題ないと思います。
本人から、「もっと健康になれば自分の生活の質はもっと上がるはずだ!」とか希望があれば対応しますが(笑)
そこまでを求めるのはプロアスリートなど、体が資本であり、健康状態がそのままパフォーマンスや結果に直結する人たちくらいではないかと思います。
健康であることは大事ですが、健康とは充実した生活を送るための手段であって、そこは逆転することが無いようにしたいと個人的には思っています。
病気でなければ良いというパターン
健康とかよく分からないし、興味もあまりない、とりあえずどこか痛いとか明らかな不調が無ければ良いじゃないか、というパターン
特にデスクワークなどしていると、体を動かす機会自体少なく、体の不調に気が付かないし、すこぶる調子が良いという状態にあまりメリットも感じないという人もいます。
ただ、デスクワーカーは逆に、凄く健康に気を使ってジム通いなどする方もいるので、その辺はやはり性格的なものが出るのでしょう。
ここでは、健康に対し興味の薄い場合を書いていきますが、そういった方の意思を責めるわけでなく、むしろ社会人になると病気でなければ働くのみ、体を動かす機会はそもそもあまりないことなど、健康に意識を持ちづらい傾向もあると思います。
社会人にもなるとお互い外見についてコメントし合うこともタブーになりがちでもありますし、難しい点でもあります。
こういった場合を心身共に健やかと言っても良いのか?
そうではない場合、どういった状態を目指すのか?
栄養士として相談に当たるのであれば、そこが焦点になります。
ただ、こういった考え方の場合、健康にそこまでの価値を見出していないので、ショートステップで簡単なことから始めないと、ダイエットにしても生活改善にしても、途中で挫折しやすいので一番難しい対象でもあります。
注意点
BMIが標準であり、血液検査がオールA評価であっても、絶対に病気にならないわけではありません。
周囲からはどうみても不健康で健康診断で毎回色々書かれてるにも関わらず、特に症状が出ないで長く生きる人もいます。
つまりはこういった数字や評価はあくまでリスク判定だということです。
病気になる確率を減らすためのもので、その確率はゼロに近づけることはできてもゼロにはならないし、100%に近づけても100にはなりません。
でも、病気になる確率が10%と90%でどっちが良いかと言えば、多くの人は10%を選ぶのではないでしょうか?
つまりはそんな感じです。
ただ、ゲームではないので、現在の自分の病気リスクが画面上に数字で表されるわけではありませんから、こういった部分は非常に自覚しにくいものとなっています。
まとめ
- 健康は生活の質を高めるための手段
- 健康であるために生活(人生)の質を下げるのは本末転倒
- 健康は人それぞれ基準が異なる
- 健康の指標となる数字はリスク判定に用いられるが絶対ではない
今回の内容は以上のようになっています。
理想を目指すことも大事な事もありますが、それぞれの人生の中でどの程度の健康状態が求められているのかなども考えられると、相手との意識の共有もスムーズになるので、自分の定規に当てはめ過ぎないようにしたいところです。