1日に10000歩を歩くことは大変なこと
健康のために運動をしましょうというのが現在の厚生労働省の考え方です。
こういった時に目安としては分かりやすい物が必要になるため、「1日10000歩以上歩きましょう」というような数字が掲げられます。
1000歩を歩くためには10分かかると言われています。
これだけを聞くと、「10分で1000歩も歩けるんだ」と思ってしまいますが、10000歩を歩くためには100分=1時間40分と考えるとどうでしょうか?
しかもそれを継続的に行うとなると、毎日1時間40分も歩くことに使えないよ!
というイメージの方が先行するのではないでしょうか?
僕も現在活動量計をつけて毎日運動量と歩数をチェックしていますが、デスクワークの日だと1日で3000歩という絶望的な数字が出ることもあります。(最近は毎日20000歩目標にがんばっていますが)
厚生労働省は10000歩ではなく+1000歩と考えている
なぜ10000歩という大きな数字が設定されているかの話に移りましょう。
厚生労働省が出している健康日本21の中では、現代の運動量の低下を問題視していて、原因について以下のように記載しています。
我が国においては、身体活動・運動についての長期にわたる時系列的な調査は少ないが、家事や仕事の自動化、交通手段の発達により身体活動量が低下してきたことは明らかであり、食生活の変化とともに、近年の生活習慣病増加の一因となっている。
健康日本21より引用
つまりは生活が便利になった反面、気が付かないうちに日常の運動量が落ちているので、それを補わなければいけないという内容です。
その上で運動の必要性については、専門的な計算式などは省いて以下のような記載があります。
長期的には10分程度の歩行を1日に数回行なう程度でも健康上の効果が期待できる。
健康日本21より
このようにあまりがっつり「運動しましょう」と書いているわけではなくて、低下している運動量を補いましょうという案外ライトな感覚であることが分かります。
実は現代の平均的な日本人が1日に歩く歩数にあと1000歩足すと10000歩(弱)になります。
「1日10000歩」というと大きな数字ですが、あと1000歩増やすと考えると何とかなりそうな感じになり、ハードルがグッと下がります。
10000歩にしたのは分かりやすさという点が大きいです。
歩数以外にも、運動量の確保は子どもの頃から
運動を継続することは困難である部分もあり、また、現代には他に楽しい事がたくさんあることから運動に割く時間を作り出すことが難しいということも多くあります。
こういった点を考慮すると、子どもの頃から一定の運動習慣を身につけておくことは重要です。
スポーツをする必要はありませんから、「楽しく体を動かす」ことを目的にしたいところですが、どうしても日本人はまじめ過ぎて「どうせやるなら・・」とか「何かを得るためには苦労しないといけない」という考え方になって堅苦しくなり、継続できない風潮があるので、肩の力を抜いて取り組めると丁度良いと思います。
10000という数字に囚われすぎない
例えば、家事をしていて運動量が多い場合でも、歩数的には多くなりません。
このように立ち仕事が多く、案外歩数としては多くならない活動は案外多い物です。
大掃除などしてみると分かりやすいです。
疲れるし、体も動かしているので、運動量的には十分なのに歩数は少ない・・・
こんな時には歩数にこだわり過ぎると次の日に疲労を残してしまう原因になるので、歩く以外の運動が十分であると感じられる場合には歩数計はあまり気にしないということも意外に重要です。
数字として見えるようになると、やった時の達成感はありますが、目標に届かない時の罪悪感や焦りにつながることもあるのが困りポイントです。
おまけとして 10000歩の根拠
健康日本21に記載されている10000歩の根拠を抜粋しておきます。
ここから先は数字が入ってきてややこしいので飛ばしてもらって大丈夫です。
海外の文献から週当たり2000kcal(1日当たり約300kcal)以上のエネルギー消費に相当する身体活動が推奨されている6)。歩行時のエネルギー消費量を求めるためのアメリカスポーツ医学協会が提示する式を用いて、体重60kgの者が、時速4km(分速70m)、歩幅70cm、で10分歩く(700m、1000歩)場合を計算すると、消費エネルギーは30kcalとなる。つまり1日当たり300kcalのエネルギー消費は、1万歩に相当する。
歩行時のエネルギー消費量を求めるためのアメリカスポーツ医学協会が提示する式11)
水平歩行時の推定酸素摂取量(ml/kg/分)=安静時酸素摂取量(3.5ml/kg/分)+0.1×分速(m/分)
この式によれば、体重60kgの者が、分速70mで10分間歩くと、6300mlの酸素を摂取することとなる。これに「酸素1リットル当たりのエネルギー消費量=5kcal」の関係を当てはめると、約30kcalのエネルギー消費量に相当することが求められる。