高齢などの理由で噛む・飲む機能が低下した際、きざんだ食事での注意点

スポンサーリンク
食事をきざむ

食事形態の必要性

僕の働いている施設は障害者支援施なのですが。

医療や薬の発展と共にこういった障害のある方でも、かなりの年齢まで健康的に過ごすことができるようになってきました。

一方で、これまでにはあまり目立つことのなかった高齢になる事での課題というものも露出するようになってきていて。

このあたりは障害の有無に関わらず同様の対応が必要とされます。

その一つに

身体障害は無い人でも、年齢を重ねて食事をするための噛む・飲む機能が低下し

誤嚥性肺炎や食べ物を喉に詰まらせるといったトラブルが全国的に急増しているというものがあります。

このため、僕を含めた栄養士も栄養面だけの管理をしていれば良いというわけでなく、食事形態やそれを食べる方への支援についてかなり勉強する機会が増えています。

そして日々の食事提供にもすでにこういった工夫を取り入れ始めています。

今回は僕が実際に現場で「気を付けた方が良い」と感じた部分をいくつか書いていきます。

健常者でも同様の点が多いので、高齢による機能低下で食事に工夫が必要になった方へも同じ点が多いと思います。

食事は細かく切れば良いというものでもない

家庭で対応できる食事形態への配慮としては食事を細かく切るくらいになる点はありますが、きざみ食はその安全性の低さから、近年は避ける傾向があります。

うちのスタッフでも誤解している方がいましたが

細かく切るほど安全になるのではないかというのはイメージで

・丸のみの助長

・誤嚥の誘発

という課題のある食事形態でもあります。

食事をきざむことは、噛むことの代替行為なのですが、

噛むことを完全に省略してしまうほど細かく切ると

表面積の小ささから、噛みにくくなり丸のみを助長するという難点があります。

そして細かくきざまれた食材は気道に入りやすく誤嚥性肺炎になりやすくもなります。

こういった点から、きざむという行為は

「噛む能力があるけれど、大きい食材は噛み切りにくい」

という人に向いていますが、いよいよ噛む能力自体が落ちてきた場合には実は不向きな食事形態であることが分かっています。

きざみに変わり台頭してきた食事形態

この代わりに広がっているのがソフト食、ムース食、ゼリー食といった

粒も無いくらいになったものを固めなおした食事達となっています。

家庭で作るにはミキサーやら、ゲル化剤やら必要で、手間と時間がかかりますが、最近ではお弁当形式で販売している業者もたくさんあります。

特に高齢の方のみの世帯では、1~2人分の食事を作るよりも食材の無駄がなく、安全な食事が食べられるという事で、需要はぐんぐん増えているそうで、配達の業者の人が嬉し悲鳴を上げていました。

家庭でできる範囲では?

そうはいっても家庭ではやはりきざみを中心にした対応が精一杯、あるいはミキサーにかけるので精一杯というところではないでしょうか?

本来であれば作業療法士や歯科医師といった専門家に

「どういった形であれば口からの食事を安全に食べられるのか」

これを確認してその指示に従うことが重要です。

自分で体験してみる重要性

きざみの危険性は自分で体験することがもっとも分かりやすく、うちの職場でも数年に一度は体験会を行っています。

例えば

きゅうりを1mmくらいまできざんで、スプーンに1杯分程度口に入れ、2回くらいしか噛まずに飲み込んでみる。

ほぼ丸のみになるで、飲み込みづらいことが分かります。

僕たちの体は、良く噛むことで、食事をまとめ、飲み込みやすくしています。

きざめば良いというわけではないことはこれで十分に分かります。

このことからきざみ食は

・小さいものならば噛める方向け

・飲み込みもある程度の能力は残っている必要がある

・誤嚥しやすいので注意が必要

こういった特徴があると言えます。

誤嚥のシグナル

誤嚥しているかどうかは食事の様子を見ていると

・ムセが見られる

・湿った咳をする

この2点が誤嚥していることのシグナルになります。

ムセやせき込みは、本来食材は食道から胃に落ちるものですが、これが気道を経由して肺に入りそうになるのを本来のルートに戻す、あるいは体外に出す為にムセます。

そして、そのせきが湿って、水っぽい風邪で言えばタンが絡んだような咳になるといよいよ誤嚥しているという合図になります。

病院などに行って今後の食事についてなど相談する必要が出てきます。

この合図を見逃すと、肺に溜まった食べ物が腐敗し、肺が炎症を起こし、誤嚥性肺炎につながります。

特に食事機能が落ちる程度に年齢を重ねている方は、免疫や体力なども弱まっているので、肺炎が治るまでに時間がかかる、あるいは体力がさらに落ちるので、その後も肺炎を繰り返すことにつながったりします。

そのため、高齢者施設における肺炎での死亡者数は常に他の病気の上に君臨しています。

まとめ

正直に言ってしまえば、途中で紹介している高齢者向けの柔らかい、飲み込みやすい食事を提供している業者の食事を取り入れることが、長く口から食事摂取してもらえる方法としては一番安全性が高いとなります。

ただ、家族で同じものが食べたいなど、様々な事情もあることは十分承知しています。

専門家の意見を聞きながら、その中で自分達はこうしたいという希望をその専門家の方々に伝え、お互いの納得できる点を探して対応していただきたいと思います。

良く見かけるのが、専門家の意見をその場では聞いたものの、納得しておらず、家に帰ってからは全く言われたことと異なるやり方をしてしまう例です。

納得できるまで話し合うことが重要で、これが徹底されないばかりに大変な目に合うのは食事を食べる方です。

長く健康に食事をするためにも、こういった努力が必要という事になります。