運動の常識は変わる 走り込みが部活から無くなる未来

スポンサーリンク
部活から走り込みがなくなる

運動時についての常識の変化

僕らの若い頃は運動中の水分補給は行ってはならないという

THE熱血という時代でした。

その後、科学的にも運動時には水分補給を行うことがパフォーマンスを向上させ、練習時のパフォーマンス向上こそが、能力を上げることに直結するので、水分摂取の必要性が一般的にも広く認識されるようになりました。

今では水分を補給してはいけないなんて時代があったことが信じられないような時代になりました。

では、どうして水分摂取を行わないことが良い事だと思われていたのか?

これは根性、メンタルを強くするという思想と、試合中にも水分を摂取することはできない(昔はそうでした)ので同じ条件で練習を行う、という面がありました。

つまり、当時の指導者も僕らプレーヤーも良かれと思ってその方法を実践していたわけです。

時代の変化とはこうも環境を変えるわけです。

そんな時代の中で平均気温の上昇もあり、夏場は熱中症も増えてことがあり、水分摂取の重要性について様々な部分から必要とみる動きが強まったことで、水分の重要性は広く認知されるようになっていきました。

走るだけの練習は失われる

次に起こる変化は

運動はやり過ぎ注意ということに基づく、適正な運動の見直しです。

ダッシュ100本のような走り込みが、瞬発力向上に効果がない事は分かっています。

これは考えるとごく当然なのですが、ダッシュを何本も繰り返すことが事前に分かっていれば、それをこなすペース配分を行います。

すると、伸びる能力は単純な筋持久力となってしまいます。

この結果として、狙った効果を得ていないという笑い話になってしまいます。

一方、それでも走り込みが行われていた背景には、相手にスキルや種目特性上の物ではなくて、単純にスタミナと根性で走り勝つための方法として有効という面があったためでした。

この恐ろしいところは、弱いチームがある程度のレベルまで到達するには一番手っ取り早い方法だという事です。

スキルはいきなり一気に伸びることはありません。

正確には伸びる時期もあるのですが、いつ効果を上げるかは分かりにくいものです。

これが走り込みだと、1ヶ月くらいでだいぶ体力がつきます。

チームスポーツではチームのメンバーの走る事の出来る距離と質が上がれば、一気に違うチームのようになります。

このため、方法論として完全に否定できない部分も実はあります。

ただし、スキルは錆びつきにくいものですが、体力は少しサボればすぐに落ちます。

更に加齢と共に自然と若い頃ほど走る事は出来なくなります。

こういった部分を考慮すると、最終的にはスキルを伸ばすことが選手寿命を延ばすことにつながることが分かります。

そしてどの競技でもトップクラスになれば走力だけではどうにもならないことが分かります。

球技では、レベルの高いチームほど走る量よりも質を重視し、正しい位置に正しいタイミングで入ることが最も重要になります。

こうなると走る事に必要なのは体力ではなく頭脳になります。

短距離ダッシュ100本で伸びるのは持久力

短距離ダッシュを100本の、あるいはシャトルランを延々繰り返す・・・

上記にも書きましたが、これらで伸びるのは瞬発力でなく持久力です。

こういった練習は部活で良く見られる景色ですが、選手は当然最初のダッシュに100%の力で取り組みません。

その後に延々と走ることが目に見えているので・・

本気で走っているように見えるように走ります。

そして瞬発力を伸ばすのであれば100%、あるいは様々な工夫でそれ以上の力を発揮する必要があります。

更に疲れて崩れたフォームで走り続けることは、本来の走り方とはかけ離れていることから、やっている行動に反して成果はそこまで得られません。

つまりこれらの走り込みで伸ばせる能力は

ある程度のスピードを長い時間維持することができる能力です。

本当にそれを狙っての練習であればまだ良いのですが、そうではない場合が多い気がします。

こういった面からも単純な走り込みは短期間で最低限の結果を残すために適しているが、その先を考えると効率的ではないという事が分かります。

実際に様々なプロスポーツにおいて、こういった走り込みは姿を消しつつあります。

そのスポーツのスキルトレーニングの中に走る要素も含ませることで、集中力を保つことが出来る時間内にスキルもフィジカルも身に付ける形に移行しています。

練習時間の減少が集中力の欠如を防ぎ、ケガのリスクも抑えます。

運動の常識の変化によるブラック部活の減少も

そして部活動なども週6日、あるいは休みなく7日というようなことは減っていきそうです。

これも連日の練習で疲れ果ててしまうことでパフォーマンスを下げてしまうことが能力の向上を阻害する面と、疲労による肉体的な耐久性の低下、集中力の低下に伴うケガのリスク増大という部分を考えると当然のように感じますが、現実的にそれぞれのスポーツ強豪校については一部の例外を除いてこういったハードスケジュールが採用されています。

走力が増すことで勝率を少しでも上げたいという狙いがあるのかもしれません。

あるいは指導者が未熟で、その競技の専門知識が乏しい事から、練習時間を長く、強度を強くすることしか指導できないのかもしれません。

上記にも書いている通り、実際に走り込むことで勝てるようになったという経験則から、それを続けているのかもしれません。

ただし、それで一時の勝利を手にする変わりに、

・不要ケガをして選手生命を絶たれてしまう選手

・その競技を嫌いになってしまう選手

・燃え尽き症候群になりその種目から離れてしまう選手

こういった本来次のステップに進める選手をたくさん潰してしまっていることは実際にあります。

スポーツを指導する人は競技の楽しさもきちんと伝えたり、残したりして欲しいですね。