まずい学校給食はどうしてできてしまうのか、入札方法など含め問題について考える

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まずい給食を考える

神奈川県大磯市の学校給食がおいしくないという報道が話題になっています。

これを発端に様々な学校給食の問題点がニュースになるようになってしまいました。

実際に残飯の量が提供した量の半分以上というのは異常と言う他に言葉が見つからない状況です。

学校の給食と調理施設での問題点

入札の背景部分での課題

この背景には、まず、公共施設の業者入札の際に「地元である」ことの優先順位が高すぎる事があります。

実は僕の知り合いの業者さんで、とある県や市の入札に深めに関わっている人がいるのですが、話しを聞く「ん?」と思うことが少なくありません。

まず、県や市は購入・あるいは委託する適正な予算を知る為に、業者に見積をもらうことがあるのですが、その業者が適正な見積りを作らなければ、そもそも適正な価格での入札の前提が崩れてしまいます。

そして知り合い業者さんは、この見積りを頼まれることもあるんですが、つまりその業者は、入札の予算をこれで間接的(もはや直接とも言えます)に知れてしまうのです。

そうすると、どこが優位に進められるか分かりますよね・・・・

これってシステム的にすでに破たんしてるんじゃないかとその時に思いました。

入札に参加しない(権利を持たない)業者に見積り出させた方が安くなるでしょう。

自分達が利益を受ける側なら予算は多めにとってもらった方が良いし。

しかも最初の予算から安すぎても認められないこともあると言っていたので、かなり有利ですよね。

入札に参加するための資格を得るのも面倒で、他の知り合いの業者さんは、「そこまでして入札に参加しない」と言っています。

そして地域の業者優先なので、何かしらの問題点が出る可能性は一般に広く公募するより高くなっても不思議ではありません。

もはや入札は参加する業者のモラルにのみ支えられるもので、破綻しているのかもしれません。

指定管理者制度などを受けて、何かしら市や県がらみで購入する際には、一回入札の権利を持っていない知り合いから適正な見積りをもらうなど対策が必要そうです。

給食の現場で起こりうる問題点

委託給食会社が見積りを作成する際に、他の業者と差を出すために削ることができる部分はあまりなくて、実際に一番の差になるのは人件費です。

ここで、気を付けないといけないのは、人件費が安いということだけで選ぶと痛い目にあう点です。

最低賃金がある以上、どれだけ安く人を使おうとしても限界があります。

そこで差をつけるための方法は

人を減らす

という方法になります。

つまりは、見積りを見る際に気を付ける点としては、

厨房に何人常駐させて、そのうち正規職員が何人配置予定で、その上いくらになるかです。

予め自分達としては厨房に常に何人いて、責任を取れる職員は何人欲しいのかをイメージしてから、見積り依頼する方が賢明だと思います。

そことかけ離れていたらどんなに価格が安かったとしても受けない方が良いです。

そこのギャップがあると、実際に業務に入ってもらった後に、面倒が起こる可能性が高いです。

うちの法人は価格で選んだ業者に1年で向こうから

「我々の見積りが甘かった、撤退させていただきたい」と出て行かれてしまったことがあります。

安物買いの・・・という典型ですね。

おかげで今は上の方の人も理解してくれるので、良い勉強だったと思います。

直営でも難しさはある

では、自前の厨房を持っていれば安心かといえばそうでもありません。

人件費の問題については委託業者を入れるよりダイレクトに響きますし、職員に欠員が出た際に業者に委託していれば、業者が何とかしますが、自前の厨房に穴が開いてしまえば、自分達でなんとかせざるを得ません。

栄養士が事務もしながら調理もして、休みは取れない・・・

そして厨房は疲弊して他の人も辞めてしまう。

これはいくつもの厨房が通って来た道です。

自前でも委託でも、厨房以外でも同じ課題が

厨房業務はお世辞にもお給料が良いとは言えません。

それでも同じ条件で求人募集をかけ・・・・

なかなか応募が来なくて、やっと来た人に対し「誰でも良いや」と採用してしまうとこれまた色々な問題が噴出します。

まずい給食が平然と提供される背景にはこういった部分は少なからずあると断言できます。

安いお給料で働く人に「プロ意識を持って美味しい食事を提供しなさい!」と言ったところでどれだけの説得力があるでしょう?

もはや単純にやる気に訴える時代は過ぎたのです。

そうでなければ、もっと楽で、もっとお給料の良い仕事に人は取られてしまうでしょう。

特に厨房は立ち仕事であり、肉体労働です。

そこで、如何にも「他では雇ってくれないので」という人を雇い入れれば、先の給食問題のようなことはいずれ起こる問題と言えます。

これは実は、最近も問題になった福祉・介護現場の現状でも同じようなことが起きています。

一般的に大変な仕事と認識している人が多いにも関わらず、薄給であることが多く、慢性的に人手不足。

それを埋めるために、面接に来た人なら誰でも採用(これは大袈裟かもしれませんが)。

そんなことをしていれば、いつか人権侵害にまつわる事件が起こることは想像できるのですが・・・

基本的にあらゆる失敗(事故や事件)は目先の整合性だけに目を奪われて将来的なリスクを見落とす事で起ります。

とりあえず現場の人数を足らせたい。

そんな思いだけで動かないようにはしたいところです。

職員の質と量の問題が根本にありがちです。

そして衛生の意識が低い現場になって、異物混入が起こる。

食べる人と直接顔を合わせないので、味付けの評判が悪くても気にしない。

こういった問題に発展していきます。

そもそも不思議な点

記憶を辿ると分かると思いますが、小学校の給食を食べる時間は概ね20分です。

15分の地域もあるとか。

自分が小学生だった頃は特になんとも思わなかったんのですが、これって、食育と言う面から考えた際に逆行してますよね・・

良く噛んで食べましょう

早食いに気を付けましょう

一口で20回、30回噛んでいたらとてもじゃないけど20分では食べ終わらないですよね。

小学校はこの他にも、毎日牛乳が出る所が多いと思いますが、これは牛乳を出さないと、とてもカロリーとたんぱく質とカルシウムが確保できないからです。

つまり牛乳飲めない子は慢性的にこれらが不足している状態になるわけです。

神奈川県横浜市の中学校給食では家でお弁当を作れない家庭に対しハマ弁というお弁当を提供していますが、こちらも評判悪く、利用率が1%というお粗末な状態になっています。

今回の事件は食事提供の業者に問題がありましたが、この際、学校給食そのものにメスを入れても良いのではないかと思います。

昔からメニューくらいしか変わってないなんて地域も多いのではないでしょうか?