脂肪の働きとあるべき理由
体脂肪は健康面でもダイエット面でも天敵のように考えられています。
これは過剰な脂肪が健康面で悪影響を及ぼすことが広く知られている為です。
ただし、元々体脂肪や脂肪にはあるべき理由があり、過剰であることだけが問題です。
今回は脂肪を擁護する形で、良い面や本来の働きについて書いていきます。
脂肪はエネルギーの貯金箱
まず最初に体脂肪がなぜ蓄えられるのかというと、飢餓状態などに陥った時にそれを切り崩してエネルギーを作ることで延命を計ることができるからです。
何かの理由で食べものが手に入らなくなった際に、少しでも長く生きるためのエネルギーの貯金であり、長く生きることで再び食べ物が手に入る確率は高まる(食べられない時期をやり過ごす)ことから生存本能的に必須なものとなります。
特に食べものの貯蔵ができなかった時代や食べ物が不足しがちだった戦時中・戦後のような際にはこういった「食べられる時に食べて、食べられない時期を凌ぐ」という方法が非常に重要でした。
ただ、現代社会においては食べ物に困る機会が少なくなり、食べすぎやカロリーの過剰摂取が課題となっている為、どうしても脂肪が「余分なもの」という認識になってしまいます。
脂肪は体を守る
体の表面につく脂肪は体を衝撃から守ります。
クッション代わりと考えると分かりやすいと思います。
そして体の中の脂肪については内臓を守ります。
こちらもクッション代わりですね。
このように脂肪は筋肉などと比較すると柔らかいという点で、衝撃から守るという働きをしてくれます。
実際ボディビルダーが大会時に体脂肪を極限まで落としますが、血管が皮膚の表面にめり込むような形になっていて、見ていてハラハラします。
血管も守るべきものになりますから、それを軽く覆うくらいの脂肪はあった方が健康的だと言えます。
脂肪は体温を逃がさない
寒い地方に住むアザラシなどはその体脂肪で寒さをしのぐと言われています。
体脂肪は体温の低下を防ぐので寒さに強くなります。
ガリガリの場合は寒さに弱くなり、実際にスキーのジャンプ競技の選手で体脂肪が極端に低い方が「リフトで上に上がる時に眠くなる時がある」と話しているインタビューを聞いたことがありますが、競技の合間とはいってもそこまで緊張感がなくなることなないでしょうから、この眠いというのは「眠ったら死ぬぞ!」という奴だろうと思いますし、本人もそんなニュアンスで笑い話にしていました。
このように寒さに対する強さという面では体脂肪は体温維持に重要な働きをしてくれます。
体脂肪がないと死ぬ
体脂肪は低い方が良いと思われがちですが、ほどほどが重要です。
体脂肪がゼロ%の状態がどういったものかというと、ミイラです。
生きているからミイラのようになりたいと願う人はほとんどいないでしょう。
何事も過剰に多かったり少なかったりせず、バランスを取るという事が重要です。
ちなみに食べ物から脂質を全く摂取しないというのも命に関わります。
体の様々なバランスを調整してくれるホルモンの材料になるのは脂質だからです。
摂り過ぎは良くなくとも、まったく摂取しないというのもまた論外ということになります。