体調の悪い時に専門家以外の人が判断する「様子を見る」は悪手であることも

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専門家 ドクター

僕の職場で数年前に話題になったことを思い出したので、忘れないうちに書いておきたいと思います。

日本では専門職の専門性がどこまでの範囲なのか、という点について非常に曖昧な部分があります。

看護師さんと日々そんな愚痴を話し合っていた頃の内容をかいつまんで書いていきます。

適切な専門家の判断を仰ぐ

事の始まりは施設内で体調の悪い人がいて、職場の看護師さんに相談したことから始まります。

「○○さんが少し体調悪いみたいなんですが少し様子を見てみます」

それを聞いた看護師さんからは

「少し様子を見ようという判断は誰がしたのか?」

そんなやり取りがありました。

判断をしたのは介護や支援を行う職員です。

でも、彼らは病気についての知識はごくごく普通の人達と同じです。

これで様子を見るという判断をした後に、何か重大な見落としがあった際には一体だれが責任を取るのでしょうか?

そして体調の悪い本人は余計な苦しさを味わう事にはならないでしょうか?

つまり

様子を見るという判断自体

医師が専門性を生かして観察した上で行われるべき判断ということです。

僕は管理栄養士なので試験を受ける上で病気のこともテスト範囲だったことから、ある程度の知識はありますが、そんな程度で判断はしません。

看護師さんも医師の診断に基づいて処置を行うことが仕事です。

病気の診断、それに対する対処については医師の専門分野で、僕たちが勝手に判断して良いようなものではありません。

こういった、専門性を持った人たちにきちんと仕事が割り当てられていないという問題点が日本にはあると思います。

不要な責任を負う事にもなってしまう

上記のように全く専門家ではない一職員が「様子を見る」と判断した場合に

恐らく「様子を見ましょう」という言葉自体を自分の通院した際の医師の言葉から学習したのでしょうが、何を持って「様子を見る」と判断したのか、あるいはこの後どんな状態になったら様子見ではなくなるのか、様子を見る=何もしないだけになります。

こういったケースのように、専門性のない人が専門家の見よう見真似をしてしまう。

あるいは専門性に対する知識が不足していることが良く見られます。

例えば看護師に

「○○さんが体温37℃で咳をするんですが、風邪でしょうか?」と聞いたりします。

それを診断するのは看護師の仕事ではありません。

本来はそれが心配だから通院して医師の診断を仰ぐわけです。

栄養士でも、最近は○○さんがあまり噛めないようだから、小さく切ってほしい、柔らかい食事にして欲しいということを言われる機会があります。

僕個人としては、「それは歯科医師、OT(作業療法士)、PT(理学療法士)の分野だから、そういった人の診断があればやれます」

「あとは食べる本人や家族がそういった変更について理解をしてくれる必要もありますよ」というように話すようにしています。

最終的に食事を加工するのは僕たちかもしれませんが、そのための根拠を専門的に見定めるのは違う業種の人たちです。

作る人なんだから分かるでしょ?と言われれば、知識としては分かっています。

でも、それを診断することはまたわけが違います。

もちろん何でもやってくれる栄養士もいるでしょうが、それは他業種の専門性に対する侵害であると共に、何かあった時に「栄養士の指示で行っていた」という責任を負わされることを認識しないといけない行為です。

実際に僕のいる法人で気前の良い栄養士が、人が足りないだろうと気を利かせて送迎の車を運転した際に、本部から「事故があった際に栄養士が運転していたでは済まされない」とお達しがあり、他の施設へ異動することになってしまったこともありました。

良かれと思って、他人の仕事に手を出すことが、必ずしもみんなの幸せにつながらない場合もあるという感じです。

誰の仕事なのかという割り振りはもっと正確に行われるべきだという感じです。

専門外の人の様子見は悪手 まとめ

まだまだ専門性について軽く考えられているからこそ、こういった自分でやっても大丈夫だろうという意識が出てしまう事も否定できません。

それぞれの立場を守るためのルールやモラルも大事ですが、そういった専門性をきちんと発揮できるようにすることで、周りからもはっきり「誰の仕事か」分かると思うので、専門家である我々も勉強を重ねて自分の立場の確立に努めていくことは非常に大切だと感じます。