冷凍食品の進化は続く 加熱せずに使用可能 味もおいしい
僕が調理の現場に入った頃(十数年以上前)、冷凍食品を使用する現場はあまり多くはありませんでした。
当時の冷凍食品の多くは「手軽で価格もそこそこだけけど、品質や味がいまいち」というものだったので、積極的に使用していると手抜きをしている、プライドがないかのようにネガティブに捉えられていたことを覚えています。
それが現在ではすっかり立場は変わり、冷凍食品はさらに便利になるだけでなく、味もおいしくなり、手作りの方が優れていた面をどんどん改善し、追い越すところまで来ています。
今回はそんな冷凍食品の便利な点を挙げていきます。
冷凍食品の進化した点
では、ここからは具体的に昔よりも冷凍食品が良くなった点を書いていきます。
最近僕の現場で納品業者の変更を検討していることから、様々な食品会社の営業さんと話す機会に恵まれているので、情報量としてもそこそこあると思います。
冷凍食品の進化した点1:味がおいしくなった
なんといっても味が良くなりました。
最近は価格の安いものと高いけれどこだわりのあるものに商品が二極化していますが、安いものであったとしても、かなり質は良くなっています。
特に価格高めの加工済みの商品(パスタ系など)は原材料からこだわり、有名なシェフの監修を受けたりしていて、普通に調理するよりもよっぽどおいしいものも多く登場しています。
このため、味を根拠に飲食の現場で使わないという選択肢がなくなったことが、現在の冷凍食品の市場拡大に影響したと考えています。
冷凍食品の進化した点2:自然解凍でそのまま使えるなど
昔の冷凍食品は加熱しないと使えませんでした。
今は自然解凍でそのまま食べられるものも増えています。
これが普及した最大のポイントとしては、お弁当のおかずに使える商品のヒットがあります。
お弁当のおかずとして凍ったまま入れておけば食べるころには解凍されて普通に食べることができるというのは、毎日のお弁当作りに追われている家庭にとって大きな味方となり、一気にヒットしました。
これは飲食の現場でも同様で、特に給食の現場では一度に大量の食材を扱います。
加熱という工程を一つ飛ばせるだけでも大きな時間短縮になります。
そして葉物の野菜については加熱することで色が悪くなりがちで、しかも水っぽさが残る傾向がありますが、自然解凍であれば、加熱時に水分が外から加わらないので、このデメリットを解消することにもなり、重宝しています。
冷凍食品の進化した点3:工程を飛ばせる便利さ
上記にも書いていますが、工程を飛ばすことができます。
具体的にはカット済みの野菜を冷凍したものを購入すれば切りものの手間が省けます。
加熱不要のものを使用すれば加熱の工程が不要です。
このように、完成までの近道をすることができるようになります。
特にガス台や電子レンジは様々な工程に使用するので、少しでも使用するところを減らすことができれば、それは大きなショートカットになります。
このように調理時間そのものを短縮できる、あるいは2人くらいで作るところを1人でできるようにできることも大きなメリットです。
人手不足により時間に追われがちな最近の飲食業界では、いかに上手にこういったものを取り入れるのかということも一つの経営面でのポイントになっています。
冷凍食品の進化4:生のものを使用するよりも良い点をつける
僕が最近職場で重宝しているのが魚の切り身です。
冷凍の切り身は魚の生臭さは強く残っていたりするので、あまり使わなかったのですが
日本食研さんの魚の切り身は骨を取り除いてあるだけでなく
・清酒に漬け
・昆布締めし
・酢洗いをする
この3つの工程を行ってから冷凍しているので、魚の臭さはまったくありません。
これらの下処理は本来和食の職人の方が行うものを冷凍の前段階できっちり行っているというもので、そのまま焼くだけでもおいしく食べることができます。
この切り身は凍ったまま焼いてOKなので、解凍の手間すらありません。
便利な上においしかったなら使わない理由はなく、使う頻度は増えつつあります。
食べる側にとってもメリットしかありませんし。
この他には卵を割ったものを冷凍した商品もあります。
これは様々なメーカーさんから出ていますが、卵を割って冷凍する際にサルモネラの検査を行っているので普通に卵を使うよりも安全です。
ちなみにサルモネラは卵の殻に付着している食中毒細菌です。
こちらは便利な上に安全という面で普通の卵を使うよりも高い価値を作り出しています。
こういった元の食材よりも強い点を出すことで、生の食材を使うか、冷凍を使うかという選択もできるようになってきています。
そこには「生食材だから」「冷凍食材だから」というものを超えた同等な印象さえあります。
冷凍食品の進化 まとめ
今回は分かりやすい点のみ書いていきましたが、細かい点まで書いていくとかなりの部分で進化が見られます。
ほうれん草はパラパラの状態での冷凍ができるようになりましたす、パッケージも使い切りでなく小分けにして使いたい分だけ使えるようにしたものも出てきています。
今後も冷凍食品は技術の進歩とアイデア次第でどんどん進化する余地があります。
使う側もアイデア次第で料理をワンランクアップさせることもできます。
あるいは「ここは冷凍で簡単に済ませて、こっちのソースに手間と時間をかけよう」などのような使い分けもできます。
冷凍=手抜きの時代は終わりました。
それらを使いながらトータルとしてどのように仕上げていくのかを考えていくことをしていきたいと思います。