目次
ダイエット時に筋トレを行わない事で起こるデメリット
人の体は環境に合わせて適応していきます。
ここが案外ダイエットの落とし穴になりがちなので、なぜダイエットに人間の体の仕組みの知識が必要なのか、筋トレを取り入れるべきなのかという点を書いていきます。
脂肪が付くわけ
体脂肪はどうして蓄積されるのかというと、緊急時に体が飢えてしまわないように。予備エネルギーとして貯金をすることを目的としています。
脂肪は1gあたりで9㎉も貯金できるので、表面性を取らずに高エネルギーを貯めて置ける優れものです。
このため、今後世界的な食糧危機が訪れた場合には肥満と呼ばれる人の方が長く生き続けられる可能性が高くなります。
種の保存という面では効率的な方法であるわけです。
脂肪は緊急時のエネルギー源
運動時には、まず糖質がエネルギーとして使用されるのですが、その次には筋肉と脂肪を分解して糖新生という過程からエネルギーを作ります。
簡単に言うと、運動時には糖質からエネルギーとして使いはじめますが、その後は筋肉と脂肪も燃やしながら運動していきます。
ダイエットで頑張って有酸素運動をしていると、脂肪も燃えますが、筋肉も壊れていっているわけです。
この時、脂肪は生き残る為の貯金でもあるので、あまりにもきつい食事制限をすると、脂肪を燃やすどころか、体は緊急事態が来たと感じてしまうので、基礎代謝を下げたりして、なるべくエネルギーを使用しない体にしてしまいます。
ダイエットにありがちな停滞期の原因のひとつになっています。
筋肉減少で基礎代謝が下がるとどうなるか
基礎代謝とは自分でコントロールできないエネルギー消費です。
呼吸、心臓の拍動、体温を一定に保つなどなど
こういった運動に普段からそれなりのエネルギーを使用している訳ですが、緊急時にはこの代謝を落として、次の食べ物が得られるまで凌ごうという活動を体が行います。
最近、フリーランスの栄養士の方達が、ネットやSNSで
「ダイエットが成功しない理由のひとつがきちんとした食事(たんぱく質・脂質)を摂取していないこと」と言っているのは、こういった背景があります。
食べ物はきちんと定期的に質の良い物が入ってくる
体がこれを理解できれば、人の体は安心して脂肪を燃やす、という行為を行ってくれます。
食べずに運動をがんばると、体の中は緊急事態モードになってしまうので、むしろ体脂肪の燃えない体にしてしまう事になりかねません、ということです。
筋肉はエンジン
体は緊急時には体脂肪も余り減らしたくない・・・
では何を代わりにエネルギーにするのかというと
筋肉です
こうしてダイエット中に筋肉を失うと、これまた基礎代謝が下がってしまいます。
筋肉は車で言うとエンジンに当たります。
車のエンジンは排気量が大きいとパワーがある(速く走れる)と言われる一方、デメリットとしては燃費が悪いというのが特徴です。
人間の体も同様で、筋肉が多いほどパワーがあり、その筋肉を維持するのには多くのエネルギーが必要です。
ただし、現代人の場合には、この燃費の悪さがデメリットになりません。
むしろ何もしなくてもエネルギーを消費してくれるなんて、筋肉は自動ダイエット装置と言っても過言ではないでしょう。
その筋肉を減らしてしまい、エンジンをパワーダウンすることは、痩せにくい体を着々と作っていくことになります。
筋トレの必要性
上記を踏まえた上で、ダイエットに筋トレを取り入れるメリットは
・筋肉が減少する事を防ぐ
という点になります。
筋トレをすることで体は、現在の生活にこのくらいの筋肉が必要だということを学んでくれます。
生活に必要な分の筋肉が失ってしまえば、生きる事に支障が出るので、体は今の生活への適応として、その筋肉量を維持しなくてはならないわけです。
ここで筋トレを行わない場合には
「今の生活はこんなに筋肉いらないようだ」「だったら脂肪よりも筋肉を優先的に使っても問題ないよね」となってしまいます。
すると体重は減ったけど、多くが筋肉で脂肪があまり減っていないという、凄く悪い痩せ方になってしまいます。
しかも筋肉(エンジン)の排気量は下がってしまったので、ダイエット前よりも食べたら太りやすい体にダウングレードされてしまっているわけですから、その後も苦労が続いてしまいます。
理想はしっかりと筋トレをして、筋肉を増やして排気量も上げてダイエットできると良いのですが、それが難しい場合は、現在の筋力を維持するくらいの筋トレで十分です。
筋肉は必要な生活を送る
ダイエットだけでなく
筋肉は使わないと
体が「こんなに筋肉はいらないようだ」と判断してしまいます。
筋肉は燃費が悪いことから間引きされやすいのです・・・・
その中で筋力系のトレーニングを行う事は
「現在生きる環境にある程度の筋力が必要である」ということを体に伝えるためのメッセージとなります。
現代社会はエレベーターやエスカレーターを始め、物は軽量化されるなど、筋力を使用しなくても生きていきやすい環境になっています。
そうなると体は
「階段は使わない環境だから、階段登るほどの筋肉は不要だ」と判断して、いずれは階段を満足に登れない筋力になってしまいます。
この問題はロコモティブシンドロームにそのままつながるので、そちらの記事も参照してください。
このため、老人施設でも、敢えて段差のある作りにしているというところもあります。
段差などを全くなくしてしまうバリアフリーという環境は素晴らしい反面、他の環境で生きていくための力を奪ってしまう側面もあるといえます。
まとめ
現代人は筋肉をあまり使わなくても生きていける便利な社会を猛スピードで作り上げました。
そして食べ物も足りない時代から急に飽食の時代に移り変わりました。
ただ、残念ながら僕達の体はそれに見合った脂肪のつきにくさなどをまだ身につけることができていません。
人の適応能力が環境変化に追い付いていないと言えるかもしれません。
そこのギャップを今回の内容から理解しながら、正しく筋肉・脂肪と付き合っていけるようになれば、と思っています。