摂取量が定められていない栄養素は欠乏症状のないもの
栄養にはビタミンやミネラルを始めとして様々なものがあります。
その中にはファイトケミカル(フィトケミカル)と呼ばれるものや、ビタミン様物質と言われるように、体に良い働きを持ったものもたくさんありまが、これらには1日の目安となる摂取量などが定められていないものがあります。
こういった栄養素には欠乏症状が見られないことから
体に有益な効果は期待されるものの、摂取は必須とまでは言えないという背景があります。
栄養素の欠乏症状
様々なビタミンやミネラルには欠乏によって起こる症状があります。
ビタミンAであれば、夜目がききにくくなります(夜盲症)。
更には骨や歯の発育にも支障がでたり、免疫機能の低下により風邪など体調を崩しやすくなります。
皮膚の感想や角化にも関わり角膜の乾燥も起こりやすくなります。
ビタミンB1の不足では有名な脚気があります。
こういった、栄養素が不足した場合に何かしらの症状が出ることを欠乏症状といい、欠乏症のある栄養素については防止の観点から摂取量が定められています。
栄養素の摂取量は単に「健康的」という目線で決められている物ではないという事が分かります。
流行する健康食品やサプリメントはほぼ欠乏症のないもの
テレビや雑誌で取り上げられ、流行するサプリメントは主に欠乏症の無い栄養素になります。
この理由として以下のようなものがあります
①マルチビタミン・ミネラルで足りてしまうため
最も代表的なサプリメントと言えるマルチビタミンとミネラルで全ての欠乏症の恐れのあるビタミンとミネラルは補給できてしまいます。
最近はたくさんのメーカーが作っていることも有り、価格も安価なものが増えているので、新しい商品がこの土俵で戦うこと自体が賢明とはいえません。
②欠乏症のあるものは過剰摂取の恐れもある
特にビタミンA、D、E、Kは脂溶性ビタミンと呼ばれ、数日は体内に存在するため、多くの量を摂取した際に過剰摂取を起こしやすい部類に入ります。
そこにサプリメントで大量の脂溶性ビタミンを摂取すると過剰摂取による弊害が出てしまう恐れもあるため、あまり積極的に導入しない傾向があります。
③規定量が決められていないので、宣伝しやすい
欠乏症の恐れのない栄養素は上限の摂取量も定められていないことが多いので、比較的含有量を自由に調整することができます。
※あとあと過剰な摂取は体に良くないことが分かって消えて行ったサプリメントも多々あります・・・
こういった背景から、新しい栄養成分を探して、必要な量は定められていないので
「若い頃に比べると体内でこんなに減ってしまいます!」とか
「これを摂取することで、こんなに体内の〇〇が増えました!」など
何となく体に良さそうな宣伝をして販売することになります。
この辺りはすでにノウハウ化されているでしょう。
こうして、本当に健康に効果があるかはかなり疑わしい商品も市場に出回っていきます。
栄養素と欠乏症状のまとめ
欠乏症のない栄養素については摂取量なども目安が設けられていない。
そして欠乏症状がない以上、実は摂取に関して積極的になる必要もない
こういった点を念頭に置きながら、世の中に出回る健康情報について冷静に吟味していくと、結構面白く見る事ができます。
体に良さそう=健康に貢献してくれる、にはならないということです。