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シンデレラ体重の健康的課題
シンデレラ体重という言葉自体は僕の若い頃からあるのですが、また最近若い女性の間で流行の兆しがあるようです。
起源はエステ業界が発端であると言われていましたが、最近再び流行しているのは女性誌やネットでの情報が火付け役だと言われています。
しかも最近のものは昔と比較して、更に体重を減らすべきと言っている・・・
食の欧米化などと呼ばれて一般的な体型は大きくなっているのに、体重をそこまで減らすことは容易ではありません。
今回はこのシンデレラ体重について考えていきます。
シンデレラ体重の出し方
昔と今では計算そのものが異なります。
両方について以下に書いていきます。
シンデレラ体重の出し方① 昔のもの
標準体重=身長(m)×身長(m)×22
この数字が最も病気などになりにくい数字となっています。
ここで算出した標準体重に0.9をかけます。
昔のシンデレラ体重=標準体重×0.9
これは案外すんなり受け入れられる数字になります。
標準範囲内で、体脂肪を考えると維持しやすい数字とも言えるので、そこまで無理のない数字と言えます。
シンデレラ体重の出し方② 最近のもの
標準体重にすら満たない低い体重を更に絞ることになっています。
最近のシンデレラ体重=身長(m)×身長(m)×20×0.9
この数字通りにするとBMI18程度の痩せ過ぎギリギリのラインに該当する事から、様々な意見が出ています。
僕も正直これは行き過ぎた数字だとは感じます。
そして体重だけでしか語られていなのでぼやけてしまいますが、きちんと筋肉を維持しようと思うとこの数字では収まらないと思います。
必要な筋肉をもそぎ落として到達する領域
これだと健康面、特に将来的な部分を見据えるとロコモなどのリスクが大きくなってしまいます。
標準体重より少ない数字をシンデレラ体重と呼ぶ理由
起源が様々なように、理由は一定ではありません。
・単純に細身の外見が美しい女性を表現している
・ガラスの靴を履いても壊れないような軽さ
・王子様が抱きかかえやすい程度の体重
・ガラスの靴がシンデレラ以外の人に履けなかったのは、当時舞踏会に来られる人は豊か(ふくよか)で、ガラスの靴が小さくて履けなかった
このような色々な説が存在しています。
シンデレラ体重の賛否
BMI18程度の体重という事で、痩せ過ぎではないか、健康的に問題があるのではないかという派と、きれいになる為には痩せるべきだという派が、熱く意見を出し合っています。
その一例を
・そもそも美しい体重なるものが存在しているのか?
・その数字通りの体型になれば美しいと言い切れない
・BMIの基準から外れる事で免疫の低下など、病気になりやすくなる
・BMI18くらいではガリガリで見た目も美しくないのではないか
・エステやダイエット業界が儲けるための指標だ
・痩せていることをダメだというのは多様性を否定しているのではないか
難しいのは美しさという概念が万人に一致するものがない価値観であること、健康という面では、BMI18でも全員になんらかの不調が表れるわけではないことなどがあります。
栄養士としての視点から
真面目に統計を取れば、もちろんBMI22の方が病気などになりにくい(そもそもそれが根拠で標準体重がBMI22に設定されている)のは明白ですが、体重という数字に縛られてしまうと、判断が難しくなってしまうのかもしれません。
男性の僕から言わせると、痩せ過ぎは良くない。
これは男性ウケしないよ、というニュアンスに近いですが、男性にも好みのタイプは様々という問題点と、むしろ女性は「対女性」を意識して体重を減らそうとする部分があると昔から思っているので、案外聞き入れてもらえない気がします。
実際に新しいシンデレラ体重に当てはまるのはアンガールズ田中さんということで・・・
シンデレラ体重について更に個人的な見解
これは完全に個人の意見になりますが
BMI18もしくはそれ以下になると、より中性的になるように思っています。
男性らしさを表現する男性ホルモンの特徴は筋肉をつける働きがあること
女性らしさについては女性ホルモンが筋肉をつけにくく、女性らしい軟らかいラインの体を形成する部分がありますが。
BMIを18まで落とそうとすると、筋肉は重たいので、それをそぎ落とすことになってしまい、男性らしさは減少していき、女性にしてもBMIを落とすために体重を落としすぎる事で女性らしい体のラインは失われていきます。
このため、体型はどんどん差が無くなっていきます。
究極の美しさとは、そういうものを越えたところにあるのでしょうか?
世界の流れに逆行
では、世界的にはBMI18程度の人に対しどのように思われているのか。
WHO(世界保健機構)ではBMIの正常範囲を18.5~25未満としているので、すでにBMI18の時点で健康的ではないという考え方が増えてきています。
現代の状況において一般的ではないということ、健康的な部分や拒食症への配慮もあって、
スペインやフランスでは痩せ過ぎモデルの活動禁止が法で決められています。
この基準がスペインではBMI18以下となっています。(フランスはまだ具体的な数字は出していないものの、概ねBMI18を目安)
グッチやヴィトンなども痩せ過ぎモデルを起用しない方針を出しています。
パリコレに参加するためには、BMIが低すぎない健康体であるという医師の診断書が必要ということで、世界の美しさの概念が「現代版健康的な美しさ」という形にシフトしているのかもしれません。
日本の美はどちらの方向に向かっていきますかね。
シンデレラ体移住のまとめというか取り留めもない話
以前、痩せている男性が力持ちや喧嘩に強くなりたい、スポーツで強くなりたい、でも筋肉質な体にはなりたくない、こういった現実的に有り得ない希望を持っている話をしました。
そしてこれを漫画やアニメの主人公が痩せ気味の体格なのに、筋肉質な相手を倒していく様子に影響を受けているのかも、という感じで書いたことがありますが。
女性にしても同じような事があると思います。
少女漫画の登場人物はグラマラスな人は少なくて、スラッとしている人がほとんどです。
そういうものに触れていて、なおかつテレビタレントやモデルが細身であれば、そういった体が美しい体なのだと判断することはそんなに不自然でもないと思います。