骨を強くして、いつまでも健康に
骨粗しょう症予防という観点は、寝たきり防止、健康寿命を長くするという国レベルでの健康状態の向上に関連するものなので、骨を強くすることは非常に重要になります。
今回はこの「骨を強くする」という点について書いていきます。
骨を強くする栄養素
カルシウムの摂取はもちろん大切なのですが、それだけでは十分ではありません。
ビタミンDとマグネシウムがカルシウムの吸収に関連していることが分かっているので、この2つも不足しない様にすることが重要です。
ビタミンDについては食事から無理に摂取しなくても、日光を浴びることで人間は体内で合成することができます。
このため、ビタミンDについてはサプリメントの有効性があまり示されていません。
サプリメントよりも日光浴の方が効果的というのが現状の考え方です。
マグネシウムは多く摂取すれば良いというわけではありませんが、カルシウムとマグネシウムは比率としてカルシウム3あるいは2:マグネシウム1くらいの比率での摂取が吸収しやすいとされています。
比率というと難しいという印象がありますが、牛乳がほぼこの比率でカルシウムとマグネシウムが含まれているので、学校給食などでは牛乳が重宝されています。
カルシウムの放出を増やしてしまう栄養素
カルシウムは不足すると骨や歯に存在しているカルシウムを溶かして使用してしまいます。
カルシウムの放出が多くなると、骨の中に存在するカルシウムが減少してしまい、骨密度が低下することによって骨の強度が落ちて骨折などのリスクが高くなります。
この体内カルシウムを減らしてしまう栄養素として
リンとナトリウムの過剰摂取があります。
これらは、カップ麺や冷凍食品などのような手軽に摂取できるもの、スナック菓子などに多く含まれています。
リンとナトリウムを過剰に摂取すると、余分な分が対外に排出されるのですが、その際にカルシウムと結びついてしまって排出されることが分かっています。
この他にもカルシウムの給率を下げるものはあるのですが、適正な食事量であれば問題になる物は少なく、上記のリンとナトリウムのように「避けた方が良い」というほどのものは個人的にはないと考えています。
骨を強くするには運動も必要
人間の体は必要のない機能は省エネのために衰えさせる傾向があります。
無駄はないに越したことはないですからね。
特に顕著なのは足の骨で、立つ・歩くという行為で骨に振動が加わることで骨は強くなったり、一定の強度を保つことができますが、一方で、立つ・歩くことがなくなると骨を使って支える必要性が低くなることから、骨はそれに合わせた強度に弱くなっていきます。
このため、車いすや松葉杖の生活を少し送ると筋肉が衰えますが、骨の強度も落ちていきます。
筋肉はパッと見ればわかりやすいですが骨は骨密度を測らないと分からないことから、気が付きにくい部分ではあります。
寝たきり防止のために骨の強化を
こういった背景から、特に高齢の方は
①足(太ももが多い)の骨を折ってしまう⇒②折った足を使う事の出来ない生活で、使用しない部分の骨が弱くなる⇒③次からは以前より骨折しやすくなる⇒④また骨折してしまう⇒②へ戻る
という負の連鎖につながってしまい、下半身の機能性が低くなっていくことが、寝たきりになる原因で最も多いものとなっています。
特に女性の閉経後は女性ホルモンの量が減少することなど、バランスが変化する影響で、骨密度が低くなってしまうことが分かっています。
これを予防するためには、骨密度が減少してから慌てても、すでに体の吸収率自体下がっている状態なので、できれば若いうちから意識していきたいところです。
そういって視点から特に女性をターゲットとしてカルシウムのサプリメントも充実しています。
カルシウム以外に骨を強くするもの まとめ
日本人はほとんどの栄養素について摂取すべき基準値を満たしていますが、カルシウムは不足している少ない栄養素のひとつとなっています。
特に数字の上だけでなくカルシウムの摂取についての必要性が叫ばれる背景として
カルシウムを十分に摂取できる食材が少ないこと
牛乳や葉物、小魚というカルシウム源が好き嫌い(体に合わない)のある食材であること
スナック菓子やカップ麺の普及でカルシウムを失いやすい状態になっていること
運動をする機会の減少
こういった社会的な部分も含まれています。
カルシウムの重要性は、今回は説明の困難さから内容に含めていませんが、神経伝達系にも影響があり、人間が生きていく上で必要不可欠なものとなっています。
意識して少しずつに毎日の生活に取り入れていけると良いと思います。