現場で気になる食物(食品)アレルギーを持つ人の増加について

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食物アレルギーを持つ方が増えています。

これは実際調理現場で働いていると痛感する部分でもあります。

昔は各施設にごく少数、一人や二人くらいずつアレルギー対応が必要という方がいる程度でしたが、近年では対応が必要となる方は倍以上になっている印象です。

保育園の栄養士などに話を聞くと、アレルギーの方が増えているだけでなく、その食品の種類も多岐に渡るようになっていることが良く分かります。

アレルギーの方が増えた理由については「これが元凶」と絞ることはできませんし、環境的な因子が多いので、除去することも困難ですが、知識として蓄える事で、食の安全性につながる部分も少なからずありますので、特に周囲にアレルギーの方がいる際には基本的な知識を身につけたいところです。

食物アレルギー増加の理由は

食物アレルギーの方が増えている理由については様々な説が流れています。

恐らくどれかひとつに絞るものでもなく、それぞれが関係しあった結果として、アレルギーを引き起こしやすくなってしまうのだろうと考えられます。

むしろ情報として、理由を断言している情報に関しては現時点の科学力では疑ってかかるくらいが良いのではないかと思います。

食物アレルギーが増えた、と言う問題点ですが、これは日本だけでなく、比較的先進国では多く見られる共通の問題となっています。

発展途上国では以前とそれほどアレルギーの方の割合は変わらない、というのも興味深いデータとしてあります。

アレルギーの増えた理由として考えられるものを一応並べてみましょう

・食習慣の変容

・住環境の変化

・医学の進歩と一般的なアレルギー知識の広がり

・衛生環境の変化

・ストレス

・これら様々な因子で変化してしまう腸内環境

こういった物が一般的に原因になり得ると言われています。

食生活の変容がアレルギーと関連

食生活は欧米化する事で、同じような原材料のものを摂取し過ぎることで、アレルギーになる可能性を高めます。

グルテン(小麦)アレルギーなどは、欧米でも増加傾向のアレルギーですが、欧米の主食であるパン、麺、ピザなどはすべて小麦主体のものであることから、摂取過剰による部分もあるのではないかと疑われています。

そのため、近年ではアレルギーではないけれど、小麦粉製品を避けている、という人が増えています。(他の理由も当然ありますが)

住環境の変化

マンションなどは気密性が高まったことで、風通しは悪くなってしまい、清掃など、よほど気を付けていないと、カビやダニが増えてしまうこともあります。

そうした環境に日常的に触れる事でアレルギーになりやすくなってしまう可能性が示唆されています。

医学の進歩と一般的なアレルギー知識の広がり

医学の進歩によって、今まではブツブツが出ていたけど、湿疹程度の感覚で終わっていたものがアレルギーと診断されるようになった。

あるいはその食品での食物アレルギーはないと考えられていたが、実はそうではないことが分かったり。

家で少し、アレルギー症状が出た時に、以前なら、「ちょっと調子が悪いのかな」で済ませていたものに対し「アレルギーかもしれない」と考えて受診するケースが増えた事。

今まではアレルギーと診断されなかったもの、そもそも診察を受けるに至らなかったものが、正確に「アレルギー」と言われるようになったという背景も見逃せないところです。

衛生環境の変化

日本は全体的に清潔です。

特に小さい子供についてはおもちゃまで除菌できるウエットティッシュで拭いてからでないと遊ばせなかったりします(うちもそうでした)

実際に、子供の頃に菌に触れていないと、アレルギーになる人が増える傾向になる事が分かってきています。

あまりにも清潔過ぎる環境というのも考えものなのかもしれません。

こういったいくつもの理由の複合で、アレルギーの方が増えているのではないかと言われています。

そういった事を踏まえると

アレルギーだからと言って、何か悪い事をしたわけでもないし、誰かが悪いわけでもないと言えると思います。

アレルギーは治らないのか

食物アレルギーは、本来は免疫が働かなくても良い食品が体の中に入った際にも免疫機能が過剰に反応してしまうことで起ります。

このため、免疫機能の未熟な乳児期に食物アレルギーが出ても、小学校に上がる際に同じ商品を食べたら大丈夫だった。

ということは良くあり、8割程度改善します。

これは免疫機能が成長していくので、それまで不要な物質にまで働いていたものが正常に働くなど、免疫機能の改善とも言えることが起こる為です。

ごくごく小さい頃にアレルギーを起こしたから一生食べられない、と諦める前に、ある程度の年齢になったところで(8~10歳くらい)専門の医師に相談して、きちんと検査をすると、食べられるものが増える事もあります。

やはり食べられる食品数が増えると、食べられる料理の幅自体が広がりますので、決めつけてしまわずに検査など受けられると良いのではないかと思います。

反面、大人になってから発症したものについては、治る事は(現在の科学・医学では)あまりありません。

ストレス過多など、理由が何か一つに偏っている場合については、それが除かれた時に改善しますが、それにしても原因の特定が容易ではなく、たまたま職場環境が変わったら、体調が良くなったから原因がストレスや職場の環境だったのかな、となるくらいです。

ただ、免疫機能も加齢と共に弱くなってきますので、高齢になるころには、症状について過敏になるほどでもなくなる、というのは聞いたことがあります。

でも、これって本人がそう自覚してるか微妙なところなので、データだけでうんぬんでもないですよね・・

最近耳にしたアレルギー

果物のアレルギーが増えてきましたが、先月「バラ科の果物アレルギー」という方がいました。

バラ科と言われてもピンとこなかったので、少し調べると、たくさんあって驚きました。

りんごやもも、すもも、イチゴ、なし、西洋ナシ、さくらんぼ、あんず、びわ・・・・

今回対象の方はこの中でりんごといちごだけ除去すれば大丈夫ということだったので、そこまで対応は困難ではなかったものの、果物だと、ちょっとしたデザートや加工品に果汁が入っていることもあるので、すべて原材料まで細かくチェックすることを徹底するなど、神経質にはなりました。

この他にお酢アレルギーの方もいました。

調味料系はパット見た目では分からないので、他の方の分とは決して混ざらない場所で調理することが望ましく、また途中で混入することも避ける面で、エリア自体を区切って、アレルギー食を調理することが理想です。

うちの厨房はアレルギー食を作る前提で厨房の中央にスペースがあるので非常に助かっています。(建築する際に最近の学校厨房をモデルにした模様)

今後も人類が発展するに反して、色々と考えもしなかった食に関する問題は出てくるのかもしれません。

食べる方も提供する方も、知識を増やして、安心・安全な食事を維持できればと思います。