目次
給食の味付けで意識すること
僕が給食の味付けに関して大事にしていることは次の2点になります。
メインは主菜であることを忘れない
味付けにもよりますが、主菜が薄味になりすぎて主役ではなくなってしまうことがあります。
主菜でごはんを食べるという感覚が日本人にはあるので、あまりにも主張がない味付けになることを避けています(素材の良さで勝負できるような高級素材が使えるお店なら違うのですが・・・)
何となく主菜の味付けがぼやけた料理を食べると外れを引いた気がしてしまいます・・・
一品ずつと全体のバランスを両方意識する
主菜、副菜、汁物はそれぞれ味を見て美味しく作りますが、上記のように主菜よりも副菜が味が濃くなってしまうと、主菜の存在感が薄くなってしまいます。
これは特に主菜と副菜を別の人が調理する給食のような場面では起こりがちです。
僕は味見をした時にその状態になっている際には正直に「主菜が副菜に負けてしまっているので調整お願いします」と伝えています。
実際にそれぞれの味付けに対してクレームを入れているわけではないので、指摘しやすい箇所だと思っています。
このように、主役が誰であるかがはっきりすることで全体のバランスはグッと取りやすくなります。
特に和食だと甘じょっぱい味付けで主菜と副菜が揃ってしまうことがあります。
こういう時こそメリハリをつけていかないと、「どちらを食べても同じ味」という事になってしまいますのでご注意ください。
酸味は時間と共に減少する
さて、ここからは上の2点ほどの重要性ではないかもしれないけれど、知っている方が良いというところに触れていきます。
酢の物などを作っている際に、早めに作って冷蔵庫に入れて温度管理をしつつ提供という形を採用しているところは多いと思います。
しかし、時間が立つと、特に酢の酸味は飛んでいきます。
なじむと言っても良いと思いますが、最初に味を見た時よりも角の取れた酸味になる傾向があります。
この時間経過後の酸味具合まで予想して味付けできると美味しい状態での提供ができます。
このあたりは経験による部分が大きいので、最初から上手に行うのは難しいですが。
辛子の辛みも少し飛ぶ
保管状況にもよるので、色々試してみてどの程度の時間経過でどの程度の辛みが失われるのかなど厨房内で共通認識として持っておくと良いと思います。
見える化の大切さ
料理は比較的職人の世界という分野なので、昔は才能と経験、技術を盗むという部分が重要でした。
ところが最近は人材難で、それだけのものを持った人を探すことは困難になっています。
そのため、調理課程の見える化が大切になってきています。
誰でも一定以上のレベルのものを作るための仕組みです。
工程もシンプルにする必要があるので、めんつゆを使用して、それに水をいくら加えるのかなど具体的な数字にしていきます。
厨房作業も料理のレシピ本のようにマニュアル化されてきているというイメージです。
特別な誰かに依存して調理をすることが可能なのは、それだけの条件を提示できるお店に限られつつあります。
誰にでも再現できるという状況を作ることで味のクオリティを保つという事の重要性が一般的な飲食店や給食業界では重要になってきていると言えます。
プラスアルファまでできると良い
例えば、食べる人たちが今日の午前は体をかなり動かす活動があった、そして気温も高いという状況だとしたら、汗をたくさんかいていると予想できます。
汗をたくさんかくと塩分を失う為、体が塩分を求める状態になり、塩分のあるものをいつもより美味しく感じるようになります。
このため、活動量の多い職種では味の濃いものが好まれる傾向があります。
こういったその日の状況や仕事ごとの特色などを理解することで、意外と簡単に評判を上げることができる可能性もあります。
食べる人の気持ちになるというのは料理の原点です。
状況に合わせた味付けができるようになれば、料理は更に楽しくなります。